尾瀬 大行山 (1780m) 2011年3月20日

所要時間 5:46 車−−5:50 除雪終点−−6:24 堰堤−−8:15 大行山 8:45−−9:22 堰堤−−9:44 除雪終点−−9:49 車

概要
 スノーパーク尾瀬戸倉から雪に埋もれた林道を歩き、取水堰下流でスノーブリッジを渡って高石沢右岸尾根より登る。前日より雪の締まりは増したがまだ雪が柔らかくスノーシュー必携。上部はなだらかで広い尾根が続きスキー向きの尾根だった。山頂部一帯は広大な平坦地で明確な最高点は存在せず、GPSの表示をもとに山頂とした。目印、山頂標識は一切なし。重鎮情報によるとGさん標識は最高部より北側にずれた位置にあるとのこと。疎らな樹林だが平坦地なので展望は良くない

 大行山は尾瀬前衛の山であり、皿伏山の南側に位置する。標高は1800m近く地理的に積雪が深いため、無雪期は深い笹薮に覆われていると想像され、残雪期に登るのが得策だ。数年前から考えていたが先延ばしになってしまい、今回挑戦することにした。

 本来なら富士見下まで車で入って適当に東斜面を登るのだが、この時期はどこまで除雪されているのか分からない。手前にスキー場があるのでそこまではOKだろうがその先は未除雪と考えた方がいいだろう。長い林道歩きはつまらないので早めに斜面に取り付ければその方がいいが、地形図を見ると斜面に取り付くには沢を渡る必要がある。これが渡れるかが最大のネックで、現場の積雪状況で判断することになろう。上部は広い斜面なので広い範囲で斜面に取り付いても山頂にたどり着ける。

スキー場の駐車場ではなく路側に止めた 県道はスキー場で除雪終点

 六軒山から下山後、スノーパーク尾瀬戸倉に向かうと除雪はスキー場までで直進する県道は真っ白なゲレンデに吸い込まれていた。スキー場の駐車場はガラガラだったが関係ない人間が止めるのも気が引けるので200mほど戻った路側のスペースに車を置いて寝た。

ここから歩き ゲレンデはまだ雪がたっぷり
県道を歩く。ここは圧雪済み トレース皆無の車道を歩く

 翌朝、天気予報は下り坂だが朝は今日もいい天気。やや薄暗い時間帯に出発する。スキー場は営業開始前の準備はまだ始まっていないようでひっそり静まり返っている。ゲレンデ脇の道路も圧雪車が入ったようで雪は固まり歩きやすいが、最後の建物を過ぎるとトレース皆無で体重をかけると沈むようになりスノーシュー装着。気温は少し高めで0度前後でスノーシューでも1,2cm沈む。昨日のことを考えればずいぶんマシだが。左手の谷は崖の下2,30mを流れて下れないので、まずはそのまま雪に埋もれた林道を歩く。

発電用取水堰 スノーブリッジ

 やがて地形図にある発電用取水堰が登場、ここの上を渡ろうかと考えていたが途中にある建物が堰を塞いでおり、鍵が開いていない限りは先に進めないため堰堤上は諦めてすぐ下流のスノーブリッジで対岸に渡ることに。カモシカも同じことを考えているようで足跡が続いていた。ここのスノーブリッジは厚さ2mくらいあって安心して渡れた。まあ、この水量なら場所を選べば渡れそうな感じだったが。

カモシカの足跡 尾根を目指す

 ここからは最初は高石沢左岸尾根を行こうとしたが、地形図を見ると右岸尾根の方がなだらかで歩きやすそうに見え、歩く距離もほとんど変わらないため計画変更で右岸尾根に取り付いた。ここは雪に覆われた背の高い落葉樹林が続き、スキーでも滑って下れそうな場所だった。たぶん無雪期は笹薮かな。昨日の六軒山とは違って積雪充分で地面が見える部分は皆無だった。傾斜がある分平地よりも日光の密度が高いようで林道歩きよりスノーシューの沈み方が少ない。これはいい傾向だ。

尾根に乗る なだらかな地形が多く下りは要注意

 尾根に乗ったらあとは延々と山頂を目指すだけだ。この尾根はなだらけで広く、登りは高いところを適当に目指せばたどり着けるが下りは厄介な場所だ。しかし今日は昨日よりも雪の締まりはいいと言っても全く沈まないわけではなく、雪の上にはクッキリと足跡が残って目印を残す必要は無かった。全く沈まないほど雪が締まっていればもっと楽に歩けるので、これがいいのか悪いのかは微妙なところだ。この尾根の利用者は皆無なようで、目印は1個も見なかった。

下部は熊棚が多い 標高が上がるとダケカンバが目立つ

 地図では分からないのだが部分的に急な区間もあるがスノーシューを履いたままで問題なく通過。念のために持ってきたピッケルの出番も無い。まあ、地形図を見れば当然の流れではある。下りもスノーシューを履いたままでOKだった。ブナ、ミズナラ中心の広葉樹林が続く場所では熊棚があちこちに見られたが、標高が上がってダケカンバが中心となると見られなくなった。

場所によってはこれくらい沈む カモシカの足跡
大西山 日光白根〜三ヶ峰

 広い斜面を登っていくと時々樹林が切れて展望が開ける場所があり、振り返ると奥日光の山々が見えてきた。昨日登った六軒山も見えているはずだが空気の透明度がイマイチで、錫ヶ岳〜沼上山の稜線ははっきりわかるのだが手前の六軒山は重なってしまい分離できない。その奥にあるはずの赤城山さえ見えなかった。

もうすぐ三角点の肩 肩付近から見た四郎岳、燕巣山
肩付近から見た日光白根〜三ヶ峰(クリックで拡大)

 視界が無い時は正確な尾根を下るのが困難な広い斜面を適当に登っていくと、今までほぼ一定だった傾斜がやっと緩んできた。肩の部分に三角点があるはずで、肩地形付近に航空測量用の形跡が無いか探したが見当たらなかった。ここまで来ると積雪量は不明だがたぶん1m以上はあるのだろう。

GPSが示した山頂 北側はシラビソ樹林

 その先も僅かに登りになっており、GPSの表示に従って進むと広大な平坦地に到着。今まではダケカンバが中心であったが平坦地の北から西側はシラビソ樹林に変わっていた。明確な最高地点はなく、一応GPSの表示を信じて山頂としよう。周囲に山頂標識が無いか(特にGさん標識)丹念に探したが全くもって発見できなかったどころか、目印も皆無。全く訪問者がいない山なのだろうか? 下山してネットで調べるとその理由が分かった。ここを登る多くは山スキーヤーで、大カッパ沢左岸尾根を登って私とは逆の北東側から山頂にアプローチしている。そしてGさん標識は正確な山頂ではなくそれより手前の北東側にあり、みんなそこを山頂としているのであった。これだけなだらかな地形なのでGPSが無いと正確な山頂把握は難しいだろう。それに山頂より北側はたぶんシラビソ樹林が続き、先が見通せず先に高い場所があるか分からないのも原因の一つだろう。まあ、標高的には最高点と大きな差は無いだろうから目くじらを立てるほどのことでもない。よく晴れた平坦な山頂部でしばし休憩した。

堰堤再び スキー場に到着

 下りは自分のトレースを追ったので広い地形でもルート判断は迷うことがなかったが、これで視界が無いと非常に難しい地形だった。沈む雪も下りなら大した障害ではなく、とんとん拍子に足が出る。堰堤に達して下流のスノーブリッジで対岸に渡り返し、急斜面を強引に上がって県道に出たが新しいトレースは皆無で、本日の入山者は私一人だけだったようだ。スキー場は営業を始めている時間だが静まり返っており、震災の影響で営業自粛しているのだろうか。積雪量は充分でまだ営業終了しているわけでもないと見た。

 除雪終点でスノーシューを脱いで車に戻った。

 

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